が欲しくて欲しくてたまらなかったのは私が中学校に入学してすぐのことでした。というのも当時友達だったS君の
お姉さんに恋心を抱いたからです。ちなみにS君はあんまり頭は良くなくて運動の方もからっきしな90キロ超えのデブで割とクラスのみんなから嫌われてはいたけど同じ囲碁部でマスコット的な存在だった友人で、でもあまりに囲碁に対する情熱が強すぎて、家にいる時も電話してきては囲碁話を週7日強要してくるので、当時二人で組んでいたフォークバンド『色男恋しぐれ』も3週間で解散してからは口も聞いていません。表向きの解散理由はあくまで「音楽性の違い」としていました。本当の理由は色んなことの温度差と足の臭さですけどね。
そんなしょーもないS君は今刑務所にいようとノースコリアに拉致されてようと宗教にはまってようと首吊ってようとどーでもいいですが、
お姉さんだけはすごくきれいで可愛くて優しくて私みたいなツッパリ剃り込みなのに囲碁部員の私にもいつも笑顔で接してくれる人だったんです。後から聞いた話ですが、実は当時思いっきりいけいけのシンナー中毒だったらしいですけどね。うふふっ♪思い返せば僕がいつもシンナーをこっそり拝借していたペンキ屋のK君の家付近でかなりの確率で遭遇していたので気付かない方がおかしいですね。恋はいつでもハリケーンだぜっ♪
そのお姉さんに何度アタックしても振られ続けボロ雑巾のように扱われた私は荒れました!そりゃあもう荒れました!大好きだったシンナーもやめ、大好きだったドンペリもやめ、大好きだった葉巻もやめ、ポリシーだった剃り込みもやめ、あんまり好きではなかった囲碁部もやめてパソコン教室に通い、実家の吹田市でひたすらそのお姉さんのアイコラを作り壁という壁全てそのお姉さんの写真で埋め尽くしてやりました。
しかしその燃え上がった愛はいつしか憎しみに変わり、気がつくと実家に火をつけ至急消防車を呼んだ後、気仙沼に逃亡しました。
続く。